問題は一人で抱えずに、周りに相談してみよう!自分を信じて!!

グレイス・リア・ベルナダス(フィリピン出身)
留学先
拓殖大学 国際学科
留学期間
2012年9月〜2013年10月

日本語が上達した秘訣とは

日本語がとても上手ですが、どれくらい学んだのですか?

グレイス・リア・ベルナダスさん(以下、グレイス): 留学前にフィリピン大学で日本語の授業を少しだけ取りました。

でも、専門の心理学に関係がないから、なかなか授業を取るのが難しかったので、アニメで日本語をちょっと学びました(笑)。

そのあと、交換留学で拓殖大学に来て学びました。

ちなみに好きなアニメは何ですか?

グレイス: 親友がオタクなんですが、私は『ワンピース』が好きです!

日本での留学の後フィリピンに帰って3年も経つのに、日本語をよく忘れませんでしたね。本当に上手です!

グレイス: フィリピンに戻ってからも、大学に行きながら、日本に関係のあるウェブサポートの会社でアルバイトしました。

だから、それだけ上手に話せるんですね!今は日本で働いているのですよね?

グレイス: はい、今年の1月4日に日本に戻りました。

今は、富澤商店で働いていて、経営企画が担当です。

「私を欲しいなら、ぜひよろしくお願いします」(笑)

つい最近就職されたばかりなんですね。就職活動はどのように取り組みましたか?

グレイス: 実は、私が日本で最初に就職活動した先は富澤商店ではありませんでした。

「日経アジアフォーラム」という会社があって、その会社の方がアジアの有名な大学を回り「日本で働きたいアジア人を募集している」という呼び掛けがありました。

留学生だけでなく、日本語は話せないけれど英語が話せる人や、日本に留学経験のある人などを募集していました。

なんと、面接を受けるための日本への渡航費用や住むところも無料だったのです!

私も受けてみて、面接には合格したのですが、実際は就職しませんでした。

えっ? それはどうしてですか!?

グレイス: 富澤商店には、拓殖大学に留学していたときに2ヵ月間インターンシップで行きました。

当時、私は英語の先生のアルバイトをしていて、自分のプロフィールをウェブサイトに上げていたら、それを見た富澤商店の社長からインターンシップのお誘いがありました。

そして、インターンシップが終わってフィリピンに帰国するときに、社長さんから「大学を卒業したら連絡してね」と言ってもらっていたので、日経アジアフォーラムでの面接は別として、社長に「私は大学を卒業しました。まだ私を欲しいならぜひよろしくお願いします」と連絡しました(笑)。

「まだ私が欲しいなら」って、かっこいいですね!

グレイス: はい(笑)。そうしたら、社長さんも私を覚えてくれていて「本当に私たちの会社で働きたいなら」と言ってもらえて!

やはり、一度インターンシップもしていて、リレーションシップもあるので、そこから富澤商店に入社する準備を始めました。

日本での就業には必ずビザの確認を

グレースさんはとてもハキハキと喋るし笑顔もいいし、そりゃあ、社長さんも忘れないですよね。
それで今年1月から働くことになったんですね。

グレイス: はい。

でも、実は2016年11月くらいに日本に来る予定でしたが、来られる時期が先に伸びてしまったのです。

その理由は?

グレイス: ビザの問題です。

もし日本で働きたいなら、ビザの問題もしっかりと勉強したほうがいいですね。

今は人文知識、技術、国際業務での就労ビザがおりました。私の在留カード、見ますか?(笑)

すごい!5年間もあるんですね!!
実は、私は以前、日本に来る留学生のホストマザーを10年していて、たくさんの留学生の就職活動なども見てきましたが、いつもビザの問題に悩まされました。わが家の留学生には、服飾関係の専門学校を出た子がいました。就職するときに、その技術に関わるビザでないと下りなくて、日本語がとても上手でしたが、翻訳などのビザは下りませんでした。

グレイス: わかります、私も本当に大変でした。

日本人の努力を感じて変わった、日本という国に対するイメージ

グレースさんは、どうして日本で働きたいと思いましたか?

グレイス: 面接みたいですね!(笑)

正直に言うと、最初はお給料が自分の国より高いのが理由です。

私と同じ能力、レベル、卒業したばかりで経験も無い人がフィリピンで就職すると、お給料はとても低いのです。

今の日本のお給料は、フィリピンより7割くらい高いですよ。

ただ、なぜ英語も話せるのに他の国でなくて日本かという、やはり交換留学に来たときに、日本がどれほどいい国かがよくわかったのです。

だから、この国のためにも働きたいと思いました。

え! そんなふうに言ってもらえて、すごく嬉しいです!!

グレイス: 将来を考えると、日本で就職すれば私が学んだことは、いつかフィリピンに持ち帰ることができると思っています。

世界規模で考えると、日本のテクノロジーは世界の頂点にあるというイメージがあります。

テクノロジーを学びたいなら、一番良い国に行くのがいいんじゃないか。

せっかく日本語を学んだのだから、日本が良いと思いました。

日本に留学したときにとても良い国だと思った、ということですが、具体的にどんなところですか? また、日本のどんなところが好きですか?もちろん、グレースさんが好きなアニメも含めて!(笑)

グレイス: 昔は、日本に対してすごく悪いイメージがあったんです、戦争もあって……。
でも今は、国民がそのイメージがなくなるように、お詫びをしていると感じました。

歴史を学んで「世界のために何ができるか」と努力しているんだなと、強く感じたのです。

昔の悪いことを否定していない、反省している国民が多いと感じました。

その点もいいな、と思っています。

そういった感想は初めて耳にしました。グレースさんは、日本人が反省していると、どんなときに感じたのですか?

グレイス: 私はフィリピン人で、顔もフィリピン人そのものです。

留学中に観光に行くと、行った先でたくさんの触れ合いがありますよね。

すると、相手の日本人は私をフィリピン人とわかっていて、「戦争のときは大変だったよね」「日本は楽しんでる?」のように声を掛けてくれるんです。

それは年配の方?

グレイス: そうです年配の人。そして、何回も何回も謝られたんです。

それは良い人に会いましたね。

グレイス: そうですね。

でも、そうした人は、たった一人ではないんです。

本当にたくさんの方に言われましたよ。

もしかしたら、私のおばあさんの世代では悪く思う人もいるかもしれません。

でも、今の若い人はフィリピンで台風や自然災害などがあると、いつも日本からも支援してもらえるので、戦争のときのことはそんなに大したことじゃないし、もう気にしている人はいないようです。

だからすごいなぁと。

逆に、日本の嫌いなところや苦手なことはありますか?

グレイス: う〜ん…… 嫌いなところは考えたことないなぁ。

日本のラッシュが嫌いだと答えた留学生の子がいましたが(苦笑)

グレイス: それはもう慣れましたよ!

鉄道会社の人も本当にいろいろと考えて、努力してくれてると感じますし、仕方ないですよね(笑)。

グレースさんは優しいんですね。

グレイス: たしかに、文句を言う留学生もいるけれど、私は『優しさをあげると優しさをもらえると思うから、それはあなたの問題だよ』と言います!

日本とフィリピンの働きかたの大きな違いとは

日本で就職することに、何か不安や心配なことはありましたか?

グレイス: 私は今の会社で以前、インターンシップをしていたので、どんな会社かわかっていました。

でも、日本を離れて3年経ってブランクもあるし、「本当に私の日本語で大丈夫かな?」という、言語に対する不安がまずありました。

そして、日本とフィリピンでは仕事のスタイルがすごく違うので「本当に私の実力で大丈夫かな?」「私は私の仕事をちゃんとできるかな?」と考えました。

たとえば、どんな違いがありますか?

グレイス: フィリピンは遅刻しても大丈夫ですが(笑)、日本では絶対ダメじゃないですか?

たしかにそうですね(苦笑)。

グレイス: 社長に聞きましたが、他の留学生のことで大使館に面接に行ったら、大使館の方が社長に対して「フィリピン人は遅刻しても怒らないでね」と言われたそうです(苦笑)。

本当に悪い癖ですが、もう習慣になってしまっています。

だから私は、一生懸命遅刻しないように努力しています!

フィリピンでは「遅刻が悪い」という文化で育っていないですものね。それは努力が要りますね。

グレイス: あと、環境も違います。

前の会社は音楽を聴きながら仕事をしてもよかったのですが、今の会社はダメです。

フィリピンはそんなふうに、日本より本当に自由ですね。

それから、残業はどれくらいするかなと心配しました。過労死とか……。

過労死ですか!?

グレイス: そうですよ、最近そういう話ばかり。何回も注意されましたよ。

それは誰に?

グレイス: 家族や友だちですね。とても心配されました。

フィリピンでは、日本は残業や過労死の問題があるということをよく聞くのですか?

グレイス: はい、それだけは知っていますよ。

日本は残業や過労死、パワハラとか、悪いイメージがありましたから、そういうことは心配でした。

実際に就職してみてどうでしたか?

グレイス: いい会社を見つけましたから大丈夫ですよ!

だけど、人事部長から「残業しないでくださいね、注意してくださいね」と言われても、やっぱり多くの人がまだ残業をしていますよね。

フィリピンは残業はありますか?

グレイス: 普通ではないですね。

日本では納期などあって、自分の担当しているものが通常業務内で締め切りまでに終わらないので、自分の判断で残業するのかなぁとか思うのだけど、フィリピンは納期とかそういったことは?

グレイス: フィリピンでも締め切りはあります。

でも、仕事をしていくうちに、いろいろと予定していなかったり、考えていなかった違うことが発生しますよね。

だから、締め切りをずらしたり、フィリピンでは猶予がありますよ!

遅刻と一緒で、そんなに厳しくないんですね。

グレイス: そうですね、日本は厳しいですね(笑)。

でもそう考えると、フィリピンのほうが社員に優しいかなと思いますね。

毎日仕事が17時30分までだという契約があるので、もし17時30分まで働いてもその仕事が終わってないなら、締め切りは翌日以降にしてもらえますから。

昔、わが家にいた台湾の留学生が、就職してからあるとき、泣きながら「どうして日本人は17時30分になっても帰らないのですか? みんなが帰らないから、私も帰れないよ! 17時30分以降は私の時間だよ!!」って怒ったことがありますよ(苦笑)日本人は帰れないんですよね……

グレイス: わかります、すごいプレッシャーなんですよ。

でも、私は外国人なので、少し違っても大丈夫だと思っているので帰りますね!

なるほど、そういうときは外国人なんだよね(笑)

グレイス: そうですね(笑)。

ブラック企業をはじめ、労働環境の問題に取り組んでみたい

日本で実現したい夢はありますか?

グレイス: これは交換留学しているときから考えていたのですが、ブラック企業と過労死についてというわけではないけど、どうやって自殺などを減らせるかを考えたいです。

私はせっかく経営企画担当になりましたから、企業や経営での問題を調べて解決してみたいです。

大学で心理学も学びましたから、ブラック企業の問題や過労死の原因がわかったら、私の周りの人たちだけではなく、国としてその問題の解決になると思うのです。

それはフィリピンで?

グレイス: フィリピンでは自殺などほとんどないから 日本の問題です。

ステキな夢ですね。

グレイス: 今はまだ、できるかどうかわからない、私に本当にそんな力があるかわかりません。

でも、まずは自分の会社でやってみたいです。

問題は一人で抱えずに、周りに相談してみよう!自分を信じて!!

日本の敬語は難しいですか?

グレイス: とても難しいですよ。いつも会社の会議で、自分の意見を求められます。

頭にはいろいろと浮かびますが、自分の敬語が合っているかわからなくて心配で、意見が浮かんでも言葉にできなかったり、発言できないときがあります。

これから就活する留学生にメッセージをお願いします。

グレイス: まず、日本で就職先があるかどうか調べたほうがいいですね。

たとえば、「日経アジアフォーラム」など調べて。

そして、就職して日本で働くようになると、外国人が一人になることがありますから、完全に就職する前に一度、私がやったインターンシップのようなお試し期間などがあったほうがいいですね。

それから、ビザのことはちゃんと調べておかないといけないと思います。

私が入った会社はビザのことがあまりわからなくて、自分で全部調べたりしてとても苦労しました。

ですから、就職したい会社がビザのことなどもやってくれるか、他に留学生を受け入れたことがあるのかなどを調べたほうがいいですね。

そして、私の場合は入社してすぐは自分に自信がなくなって、どんどんネガティブな感情になりました。

そんな時はどう乗り越えましたか?

グレイス: まずは、全部自分で考えました。今の自分がここまでどうやってたどり着いたかを考えました。

そして、信頼できる人に相談したりしました。

会社の同僚や上司のサポートにもとてもすごく助けられました!

ネガティブな感情が続くと、すぐに自分の国に帰りたくなるから、そういうときはすぐに周りに相談したほうがいい。

そして、自分の力を信じてください。

取材を振り返って...

日本で働くということに対して憧れを持ちつつも、「残業」「ブラック企業」などの言葉がフィリピンでも日本企業に対してイメージとして広がりつつあることは、とても大きな課題だと思いました。
人口減少が社会問題となり、海外の労働力も必要だと動き出した日本では、技能実習生の労働実態においてはたくさんの課題があると、私ですらよくニュースなどでも目にします。
東南アジアにおいて、働く国として憧れだった「日本」というのは、少しづつ遠い過去のことになっていくのかもしれません。グレースさんのように、語学だけでなく、文化や習慣においても日本を尊重し、溶け込もうとしてくれるということも含めて、優秀な人材を確保したいと思ったときに日本の働きかた自体を考えるべきときが来たのかなと感じました。
そうすることは留学生の就職支援ということだけでなく、広くは残業などを苦に自殺してしまう若い日本人労働力を守ることにもなるのではないでしょうか。

取材日
2017年04月02日
インタビュー
玉城ちはる(EACH理事)

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