全員がケバブじゃなくてもいい。いろんなハラル料理の店を作りたい。

ナルディナ・パンジョル(タイ出身)
留学先
拓殖大学 国際協力学科
留学期間
2015年3月から現在(2013年に4ヵ月間交換留学で来日)

日本人独自のシステムや考えかた

今どんな勉強をしていますか?

ナルディナ・パンジョルさん(以下、ナルディナ): 国際協力研究科で安全保障について学んでいます。

また、『タイの紛争について平和の道へ』をテーマに論文を書いています。

なぜそれを日本の大学で学んでいるのですか?

ナルディナ: 最初は日本語をもっと話せるようになりたい、もっと上手になりたいと思ったので、まずは日本語学校に入って、2015年に卒業しました。

そのときにお父さんから進学を勧められました。

私も、せっかく一年間日本語を学んだので、日本の大学に進学しようと頑張って受験して、拓殖大学に入りました。

日本語学校には進学コースもあって、いろいろな先生がいて研究計画についてもどのようにしたらよいか、順番なども教えてもらいました。

それはすごく良かったです。

日本に留学していて学んだことや気付いたことはありますか?

ナルディナ: 日本独特のシステムかなと思います。

ヨーロッパや東南アジアは似ている国が多いのですが、日本の文化や考えかたは独特です。

他の国は、近くの国と混ざっているようなところがあって、日本も中国や韓国との関係性があるかもしれませんが、やっぱり違いますね。

日本だけのユニークなものがたくさんあると感じます。

国籍の違いより能力の違いを優先

たとえば、どんなことですか?

ナルディナ: 日本人は考えかたがグループです。

同じ考えかたが多い。

グループ? 同じ考えかた?それは、どんな意味ですか?

ナルディナ: たとえば仕事において、留学生と日本人が一緒のグループにいたら、一緒のグループだけど、もちろん日本人が優先。

会社なども同じだと思います。

タイにある日本企業も、日本企業同士で協力しています。

タイでは、海外の人が働くときに、タイ人が優先ということはないのですか?

ナルディナ: ありませんね!

国籍が何であっても、能力が高ければいいということでしょうか?

ナルディナ: そうですね。

日本人はもしかしたら、ヨーロッパと東南アジアを比べると東南アジアを下に見ているのかもしれません。

白人を上に見るような。

白人だったら日本人より優先かもしれませんし、東南アジア人だからと日本人より下に見ていて、日本人優先になっているのかもしれないと思うのですが、あなたはどう思いますか?

そういう考えかたの日本人もいるかもしれませんね。そんなふうに感じることは多いですか?

ナルディナ: そうですね、だいたいみんな(東南アジア人)はそう言いますね。

日本のシステムや、日本人の考えかたを学びたい

ナルディナさんは、日本の会社に就職してみたいですか?

ナルディナ: はい、してみたいです。

それはどうしてですか?

ナルディナ: 自分の経験を集めるためです。

日本の会社がどんな感じか、実際の現場を感じたいです。

タイにある日本企業だと、日本人とタイ人の両方がいるけれど、やっぱりタイの雰囲気だと思います。

タイ人は、会社でもみんな机にいつも食べ物を置いていますよ!

仕事中でもアイスを食べながら仕事をしています(笑)。

そうなんですね! だから、タイにも日本の企業はあるけれど、それだと雰囲気が違うから、日本にある日本企業で働いて、日本の企業の雰囲気をもっと知りたいということですね?

ナルディナ: はい、そうです。

働くスタイルや、システムが知りたいです。

システムは面白いから、日本のシステムがわかれば、日本人の考えかたがわかります。

どうしてこのシステムにしたか、その考えかたがわかります。

そのシステムを学んだら、自分の国にいつか持って帰りたいですか?

ナルディナ: そうですね! そうしたいと思います。

日本で働く環境で気になる「残業」や「過労死」

日本の企業で働くことに、不安や心配なことはありますか?

ナルディナ: よく、過労死について聞きます。

日本企業のイメージの一つに「過労死」がありますか?

ナルディナ: これは私の個人的な考えですが、過労死というのは実はどこの国でもあると思います。

自分がどれくらい解決できるか、コントロールできるかについて考えることが大切だと思います。

それから、よくニュースでストレスや過労で自殺する人がいると聞きますが、日本でいう「過労」とはどれくらいなのか。

実際、どれくらいのストレスがかかっているのかを知りたいです。

日本の企業は残業もありますが、そういったことも知りたいですか?

ナルディナ: 他の留学生は知りたくないかもしれませんが、私は知りたいです。

たしかに、こうしてインタビューしていると、残業を気にする人が多いです。

ナルディナ: やっぱり!(笑) そうですね、みんな嫌って言うでしょう。

若者は、おじいちゃん、おばあちゃん世代と考えかたが違いますからね。

みんなもっと自由にしたい、楽しくしたいと考えるばかり。

おじいちゃんの時代はもっと我慢していました。

え? 日本の若者の話じゃなくて、タイでもそうなんですか?

ナルディナ: そうですね。

日本だけのことかと思いました(苦笑)。

ナルディナ: 日本はみんな同じ考えだと安心するから、余計にそうなるのかもしれませんね。

今の時代は、みんなもっと自由がほしいですものね。

面接で経験した宗教上の違いとは

就職活動するのに、他に不安なことはありますか?

ナルディナ: それはこれです、スカーフです!(身に付けているヒジャブを指差す)

そして、宗教。

私は他のことは自信を持っていますから、不安なことはこれだけです。

イスラム教のことですね。自身の宗教のことで不安を持っている留学生も少なくありませんね。

ナルディナ: 私はどんな仕事でもできますが、まずは勉強しなくてはなりません。

きっと覚えるまでは1~2ヵ月は大変でしょうが、それは経験になりますし、そのあとは自分の問題ですね。

ただ、だいたいどの面接でも「スカーフは取れますか?」と聞かれました。

それはアルバイトのときのことですか?

ナルディナ: そうです。

「お祈りの時間は取らなくても大丈夫ですか?」「スカーフは取れますか?」と聞かれました。

10ヵ所くらいのアルバイトで聞かれて、全部ダメでした……。

それで最後は、ホテルの清掃の仕事の面接でしたが、そこは大丈夫で、すごく嬉しかったです。

どんな仕事の面接で聞かれることが多かったですか?

ナルディナ: カフェは絶対にダメですね。

お店のユニフォームとかもありますから。

それから、外国人の保証人になる会社のオフィスの仕事の面接があったのですが、働く人のほとんどが外国人の職場。

しかもタイ人、タイ語をできる人を募集していましたが、面接の最後に「今はタイ人は募集していません」と言われ、その人にも「ヒジャブ(スカーフ)取れませんか?」と言われました。

私は「オフィスでの仕事でヒジャブがそんなに関係あるの?」と思いました。

たしかに、カフェのような表に立つ仕事だとわかる気もしますが……他にもありましたか?

ナルディナ: クリーニングの仕事も落ちましたね、お客さんに直接会わないのに。

イスラム教に偏見があるのでしょうか……

ナルディナ: そうですね。「イスラムフォービア」と呼ばれる「イスラムが怖い」という意味の病名があるのですが、知っていますか?

ほかにも「〇〇フォービア」というのはたくさんありますね。

これから日本で就職活動をするときも、お祈りの時間がありますよね。

ナルディナ: そうですね。

タイにある日本企業ですが、お祈りのことについては日本人の上司に許可をいただきました。

だって、お祈りといっても時間は5分くらいしかかからないし、特別な場所は必要なくて自分の席でできます。

それでいいんですね。お祈り用のスペースが無くても大丈夫なんですね。

ナルディナ: 私は大丈夫です。

人によっては、お祈りをしているところを見られたくないという人もいますよ。

そういった場合はスペースが必要になるんですね。

ナルディナ: そうですね。

留学してよかったこと

そもそもナルディナさんは、なぜ日本に交換留学に来たのですか?

ナルディナ: 本物の日本人と話がしたかったのです。

タイの大学で日本語を習いましたが、勉強ばかりで使えるチャンスがないんです。

どこかでトレーニングしないと身につかないし、会社にも入れませんから、私は交換留学の奨学金にトライしました。

それで合格したので日本に来たのですが、そのおかげで日本で友だちがたくさんできました。

交換留学して良かったと思いますか?

ナルディナ: 本当に良かったです!

友だちができたから、いっぱい日本語を教えてもらえましたし、たくさん遊んでもらいましたね。

あとは、まだまだ旅行などに行きたいです。

日本の好きなところはどこですか?

ナルディナ: システムです。

電車やバスなども早いし、時間に正確なのも大好き。

日本は全国に電車やバスなど交通網があって、そこが大好きです。

タイはそんなに整っていません。

日本は、国民の希望を聞く国だと思います。

国民の意見を聞いて改善していると思います。

タイはそういう国ではありませんから、日本が好きなんです。

それから、四季があるのが好きです。

では、日本の嫌いなところは?

ナルディナ: ときどき、日本人のグループに入れないこと。

壁を感じます。

私は意見などをはっきり言うので、そういう人が合いますね。

では、日本の嫌いなところは?

ナルディナ: ときどき、日本人のグループに入れないこと。

ハラル料理を提供するタイ料理屋を開店したい!

日本で就職活動するときはどうやって調べるの?

ナルディナ: マイナビやリクナビなどで、留学生OKのところを見ます。

あとは「アジアン・ジョブフェア」です。

そこだとアジア人だけの募集なので、もっとチャンスがあります。

最後に、日本で実現したい夢はありますか?

ナルディナ: 自分でタイ料理のお店をやりたいです。

タイ料理といっても、ハラルのタイ料理のお店です。

全国にあるハラル料理は全部「ケバブ」で、嫌なんです!(笑)

日本ではまだハラル料理が食べられる和食屋さんも少ないし、高いですね。

ケバブだけだと嫌ですか?(苦笑)

ナルディナ: 本当に嫌ってことでなくて、「どうしてケバブしかないの!?」「なんでインド料理だけ!?」「カレーだけ!?」「ケバブだけ!?」という意味なんです(笑)。

だから本当に、ハラル料理を提供するタイ料理屋さんをやりたい、それが夢です。

お話、ありがとうございました。

ナルディナ: ありがとうございました!

取材を振り返って...

「日本人は日本人のグループになりたがる」――― 彼女と話していて、とても友好的で話しやすさを覚えた私。社交的な人なので、日本人の友だちもたくさんいるだろうと思いましたが、そんな彼女でも日本人のグループに入るのは難しいという感想が印象に残りました。
日本人にとって、外国人に対する「言葉の壁」は思った以上にあるのかもしれません。日本人の間では、「英語が話せないと、外国人とはコミュニケーションは難しい」というイメージが根付いているようですが、それを改善することに課題があるのではないかなと思いました。
また、彼女と話しているなかで、それまではさほど問題ではないと思っていた宗教は、就職では予想以上に大きな壁になると感じました。これも、今後受け入れる企業がどのように対応するのかという課題になると感じました。

取材日
2017年04月07日
インタビュー
玉城ちはる(EACH理事)

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