社会福祉の勉強は中国でもきっと役立つはず。 モノよりもサービスを扱う“経営”が面白い!

唐スズコ(中国出身)
留学先
上智大学 社会福祉学科
留学期間
4年6ヶ月(2013年4月〜)

勉強してはじめて、社会福祉の本当の意味を知った

日本に来て何年ですか?

唐スズコ(以下、唐): 5年になります。

社会福祉学科とのことですが、どのようなことを学べますか?

唐: 社会全体をより良くするための政策や、施設経営、ビジネスのことまでやっています。
私は最初、社会福祉というのは高齢者や障害者の方の問題を解決するものというイメージをもっていましたが、社会全体のことを考えるのが社会福祉なんです。

経営まで学べるんですね、驚きです。

唐: そうですね、社会全般のことを習えます。社会学科と似ているんじゃないかなと思います。

印象に残っている授業はありますか?

唐: 去年からゼミに入ったのですが、うちのゼミの先生の授業が面白いんです!
同じ福祉でも、モノを扱う会社の経営とサービスを扱う会社の経営は違う部分があるじゃないですか。私は特にサービスの経営についての授業が面白くって、大好きです。
そのゼミで私は初めての留学生だそうです。

すごい!日本人と同じように習うんですよね?

唐: そう、一緒に授業を受けます。

専門用語は難しくないですか?

唐: 確かに難しいですね。モゴモゴと話す先生がいて聞き取りにくいことがありますが、板書もテキストもないから分からない。それがいちばん辛いです。
録音もちょっと面倒くさいので、先生が言ったことを全部カタカナで書いて、後で調べる方法をとっています。

 

好きな番組の視聴が日本語上達の秘密

それにしても本当に日本語がお上手ですね!中国にいる時から学ばれていたんですか?

唐: 高校から英語をやめて日本語を選択しました。でも、ちゃんと勉強しはじめたのは日本に来てからですね。

日本の中学校・高校は基本英語を習いますが、中国の高校では日本語の授業もあるんでしょうか?

唐: 普通の高校はやはりメインは英語です。うちの高校は国際高校で、フランス語と日本語のクラスもありました。もちろん、英語をやりたかったら続けてもいいのですが私はメインを日本語にしました。でもその頃はまだ子供っぽくてあんまり勉強していなかったんです。いま考えるとちょっともったいないし、悔しいですね(笑)。

唐さんにとって日本語を学ぼうと思ったきっかけはなんですか?

唐: うちの父はもともと日本のビジネスをやっていて日本語を喋れるんです。その影響と、あとは日本のドラマが好きなこともあります。

そうなんですね!? 例えば?

唐: 最初は嵐の二宮くんが好きでテープでちょっと勉強したり、出演番組も結構見ていました。

中国でも流れるんですか?

唐:流れないです。ネットやYouTubeで見ていて、自分で勉強しはじめました。

すごいですね!

友達を作りたいなら積極的なアプローチが必要

実際に日本で過ごしてみて、日本の好きなところがあったら教えてください。

唐: 洋菓子がすごく美味しいところ!私は食いしん坊で、お菓子の専門学校に行きたいくらい大好きです(笑)。あとは、コンビニがどこにでもあって便利なところでしょうか。

なるほど。留学生にインタビューしていると、コンビニのパンが美味しいっていう子も多いですね。

唐: 美味しいですし、日本に来たばかりの頃、すごく助けられました。
付加サービスも多いですよね、例えば公共料金が払えるとか、ATMも置いてあるし。コンビニがあればなんでもできる。あと、人が優しいところもいいなと感じました。

ベトナム人の女の子は、日本のコンビニのシステムを国に持ち帰りたくて経営学科で勉強していましたよ。中国にもコンビニはありますよね?

唐: 今はセブンイレブンとかローソンとかファミリーマートとか、地元中国のコンビニもあります。

逆に、困ったな、これは嫌だったなということはありますか?

唐: 日本人の友達がなかなかできないことです。全くできないわけじゃないけど、難しい。

どうして難しいと思いましたか?

唐: 日本人には、私たち留学生からアプローチしないといけないです。難しいけど、ずっと待っているのはもっと難しい。

唐さんはそれを実践しました?

唐:そうですね、通り道で会ったら声をかけて…。頑張っています(笑)

偉いなぁ。日本の民族性として、アプローチできる人はまだまだ少ないかもしれないですね。

唐: でも気持ちは分かります。例えば私が中国の大学にいて逆の立場だったら、と考えると、積極的にアプローチしないかもしれません。

どうしてですか?

唐: 一つは言葉。あとは、返事がなかったらどうしようとか、何を話せばいいか分からないとか、いろいろ問題があります。

逆の立場でも考えられる唐さんは優しいですね。

不安いっぱいの日本での就職活動

ほかに何か困ったことはありましたか?

唐:今3年生なので、就活するか進学するか悩んでいます。日本と中国とでは就活のシステムが全く違うので大変です。

就職は日本でしたいですか。

唐:そうですね、インターンも参加しています。今日も1日だけのインターンに行きました。

日本の就活と中国の就活は、どのように違いますか?

唐:中国の就活は詳しくは分からないですが、エントリーシートはそんなに難しくないですし、面接も1回か2回で終わります。
日本はウェブテストやSPI、その会社独自のテストがあったりします。面接も大手だったら7回、8回まであるじゃないですか。中国はちょっと違うかもしれません。

日本の就職活動で不安なことはありますか?

唐:不安はいろいろあります。先生や先輩に「ちゃんと就職するなら最初はインターンに参加したほうがいい」と言われたけど、一週間のインターンに本当に行く意味があるのかどうか分からないんです。インターンは選考もあって、それ自体が難しく大変です。テストは勉強すればなんとなくできますが、グループディスカッションは留学生にとって更に難しい。グループ面接や個人面接も大変ですね。

グループディスカッションでいうと、難しいのは言語の問題?

唐:そう、まずは言語ですね。それに、自分の言いたいことばかりを言ってはダメで、相手の気持ちを配慮しないといけません。表情にも気をつけなきゃとか(笑)

実際やってみてどうでしたか。

唐: 旅行会社のインターン選考では、ひとつのテーマに対して5〜6人くらいで10分ほど話して、最後の1分間で1人が発表する流れでした。
そのとき、ディスカッションをリードしていた子がみんなを間違った方向に引っ張ってしまったんです。疑問に思いましたが誰も言わないから私が言っていいのか迷ってしまって。留学生だから自分が間違えているのかもしれないと思って。日本人が間違えるはずのないポイントだと思ったんですね。

なるほど。日本の人が間違えた方向にもっていったら、留学生の立場からはなかなか言えないですよね。

唐: 自分でも疑っているんです、私が間違ったかなって。でもやっぱりその日本人の子が間違っていました。

就職活動のための情報はどうやって得ていますか?

唐: ゼミの先輩です。うちのゼミは進学する人は結構少なく、4年生の先輩はみんな内定をもらっています。
あとは留学生のネットワークもあります。バイト先が留学生向けの塾で、東大など有名大学に入っている方が多いですから、そこで繋がっています。ネットの情報もちょこちょこ見ています。

どんなサイトを見ますか?

唐: リクルートとかマイナビとか。

それらのサイトに留学生専門のページなどはありますか?

唐: 私は見つけられませんでした。
グローバルリーダーというリクルートに似たサイトがあって、それは留学生専用です。

それは初めて聞きました。日本ですでに就職している留学生や、すでに働いている大学の先輩に会ったことはありますか?

唐: あります。

日本で働く海外の人にまた会う機会があれば何を聞きますか?

唐: 社風や仕事内容、勤務時間、転勤があるかどうかなどでしょうか。

 具体的ですね。他に聞いてみたいことはありますか?

唐: 待遇とか、本当に自分が成長できるかどうか。私の就活の軸は、短時間で加速的に自分が成長できるかどうか、自分がやりたいことをやれるかどうかです。

例えばどんなことをやりたいですか?

唐:外資系の企業は、最初の2〜3年間は体験期間としていろんな部署で働きます。その上で、自分が本当に向いている部門、入りたい部門に入れる制度があって、それがすごく魅力的。経営とかマーケティングをやりたいと思っています。

社会福祉の勉強は中国に戻っても絶対に役立つはず

日本の企業ってどんなイメージがありますか?

唐:もちろん、良いところと悪いところがあります。良いところは研修制度が充実しているところです。日本の新卒は一括採用。例えばプログラミングが出来なくても会社に入って一から勉強できる。それがすごく魅力的です。
悪いところは、ルールや制度が厳しいところ。残業時間が長いというイメージもありますね。

ほかの留学生もみんな言っていました。特に東南アジアの子。朝8時9時に行きたくないって(笑)。中国ではみんな時間を守るんですか?

唐:9時くらいですかね。タイムカードがあって、遅刻したら減給です。

日本で学んだことで、中国でも役に立つと思うことはありますか?

唐:社会福祉だったら絶対役に立つと思います。

いま勉強されている社会福祉のサービス経営は、中国の社会問題の解決にもなりそうですね。

唐:いまの日本の老人施設や老人ホームは、もう中国に進出しています。
私の住んでいる青島は日本の『ロングライフ』という老人ホームがすごく人気です。私が日本に来る頃は入れないほどでした。もう5年も前のことなので、いまはもっと進出していると思います。だから、社会福祉や経営を勉強していて、戻ったら役に立つかなと思います。

女社長になりそうですね(笑)

唐:(笑)。起業したいです。

起業したいの?

唐:洋菓子のお店を起業したい。それは起業ではないですね(笑)定年退職後にできたらいいな。卒業してから、お菓子の専門学校に行きたいなと思っています!

取材を振り返って...

唐さんと話して改めて感じた事は、日本で日本式の社会福祉や、介護を学ぶ中国人留学生達にもいわゆる「日式介護」という日本式の介護が中国では大人気だと知っていて、その技術や方式を持ち帰りたいと思っていること。
実際に人気もあるのですが、伸び悩んでいるのも実情だと耳にします。
日本のような社会保障制度や、介護保険のない中国では一人の介護者が2〜3人を見ることが多くなるそうですし、「日式介護」の前提として見られる、「自立支援」という意識は、「高いお金を払ったら全て職員が見てくれる」という感覚の中国の富裕層には受けないからです。
じゃぁ、唐さんがこれから青島に帰り、女性起業家として中国で「日式介護」を広げてゆくビジネスは難しいのかというと、私個人の考えですがそこにはいくつかのポイントがあると思っています。まずこの「日式介護」ってなんぞやと思うと結局はお金だけではない「思いやり」とか「人助け」的な日本独特な感覚があるのではないかと思うのです。
「福祉をビジネスにして何が悪いのか」とか「福祉=ボランティアというような感覚が過労死を生む」というように思ってはいますが、とはいえ日本人特有の思いやり、おもてなし文化はやっぱり海外の憧れなのではないかと思うのです。
日本で留学している間に学んだそのおもてなしや、サービス精神に至る「心の育成」こそ現地で人材育成するときに必要になるのではないかと思います。とはいえ、日本の介護の現場にも多くの課題があるので、いい意味で中国の感覚と「日式介護」の感覚をミレニアム世代が融合してゆくことが鍵になると思います。

取材日
2017年10月18日
インタビュー
玉城ちはる(EACH理事)

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